チーズ愛好家のアツコ先生より「チーズ鑑評騎士」について

フランスのチーズ文化を守る「チーズの鑑評騎士」!?

フランスにおいて、チーズとはとても重要なもの!
守り続けていきたい文化なんだな、とつくづく感じます。


前回お話ししたAOC(原産地統制名称)制度もそうですが、
Chevaliers du taste-fromage de France(シュバリエ デュ タストフロマージュ ドゥ フランス)という「フランスチーズ鑑評騎士の会」という協会があるのです。

チーズ鑑評騎士の会というのは、
各地方のそれぞれのチーズによって活動されていて、
年1回その地方でおこなわれるそのチーズのお祭りの時に授与式が行われます。

授与式というのが独特で、中世の世界を再現したような設定で、
その日授与される人はマントを着て壇上に上がり、
名前を呼ばれ、首にメダルをかけられ、賞状を渡されるのです。


そして中世の食事をしたりします。
その日はチーズの各生産者が出品をして味や形や色などを競うコンテストもあります。

私はフランスにいる時、パリを本拠地としていましたが、
学校などが休みになるとトゥーレーヌ地方の山羊のチーズ
「サントモール・ド・トゥーレーヌ」というチーズを作っている農家さんで
チーズ作りを教わるため滞在させてもらっていました。

そんな小さな村に日本人の女の子が一人で来て、チーズの勉強をしているのが珍しいらしく、地元の小冊子の取材が来たりもしました。
マルシェでチーズを売ったり、お祭りでコンテストの審査員をさせてもらったり、
本当に貴重な体験をさせてもらいました。

そしてある年「Chevalier de fromage de St.maure de Touraine」
(サントモール・ド・トゥーレーヌチーズの騎士)の称号も戴くことができたのです。

授与された翌年からは毎年そのお祭りに参加することができるのですが、
全然行くことができていません、、、
はぁ〜、行きたいなぁ〜

私がトゥーレーヌでお世話になっていたチーズ農家の家族は、
本当に良い方たちで、いろんな所に連れて行ってもらい、実の娘のように接してくれました。

パリでの1人暮らしでは味わえなかったフランスの日常というものを体験させてもらい、本当に本当に感謝しています。
今でも交流はあるのですが、なかなか会いに行けないのが悲しいところです

サントモール・ド・トゥーレーヌというチーズはAOCに1990年6月に認定されています。
筒状で真ん中に藁が1本入った山羊のチーズです。

筒状といっても左右少し太さが違います。
それは脱水するための型に入れて立てておき、取り出す時に取り出しやすくするためです。
そして型に入れた時、真ん中に直径3mmほどの藁を挿しますが、
その藁は型崩れを防ぐのと、通気性良くする目的もありますが、
なんとその藁1本1本に生産者の番号と名前が印字されているのです!


あの細い藁にですよ!すごいこだわりですよね!
それを知った時は鳥肌が立ってしまいました。

そして周りに灰をまぶして熟成させます。
昔は葡萄の収穫が終わった後、葡萄の木の葉っぱや枝などを燃やした灰の中に入れてチーズを保存をしていたのが始まりだそうだそうですが、今は食用の灰に塩を混ぜたものをまぶしています。

まぶした直後はジャリっとした食感がありますが、湿気を吸収し貯蔵性を良くする働きがあり、シェーブルチーズ(山羊のチーズ)特有の酸味を緩和する効果もあります。
だんだん熟成が進むと美しいグレーの表面になっていきます。シェーブルチーズは同じように灰をまぶしたものが多くあります。

サントモール・ド・トゥーレーヌを食べる時は中心の藁を最初に抜いて、
輪切りにしていくのが正しい食べ方ですが、藁の逸話を知らない方は藁ごと切って食べてしまうので残念です。
1本を一気に食べるのは難しいので、残ってしまったら、
アルミ箔に包んで保存することをお勧めします。内部に湿気が溜まらないようにラップは避けた方がいいです。

翌日、輪切りにしたチーズをパンの上に載せて焼き、手作りのフレンチドレッシングで和えたグリーンサラダと一緒に食べるととても美味しいです。

フランスのチーズはその地方の事情で生まれたものが多く、
またその製造方法や食べ方がほとんど変わらない伝統的な食べ物です。
そのチーズを食べればその地方のことも知ることができてしまう、というのがとても魅力的です。

+.。:;+.:;。+゚+.。:;+.:;。+゚+.。:;+.:;。+゚+.。:;+.:;。+゚+.。:;+.:;。+゚

千葉県柏市の女性限定オンラインサロン
akala(アカラ)運営事務局 

協力サポーター
チーズ愛好家&美食探究家
ワタナベ アツコ

関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。